小樽堺町郵便局
観光客の多い堺町通りにあるため、より多様な「おもてなし力」を必要とされる「小樽堺町郵便局」。じつは歴史も長く、開局は1872(明治4)年。現在の局長・永富賢さんは、8代目として2010年に就任しました。
貯金や保険を扱う郵便局だからこその、誠実で丁寧な接客
「小さな郵便局とはいえ、母体は大きな企業ですから、個人店のように自由にはいかない部分が多いんです」と語る永富局長。それでも、父であり、堺町郵便局の6代目局長でもあった永富 昭さんが、夏の時期、観光客に雪玉を見せて喜ばせていた姿を見て、「お父さんは、面白いことをするなぁ」と感じていたそう。きっと、そんなお父さんの背中を見ながら、堺町郵便局流の「おもてなし」を子どもの頃から学んでいたのかもしれません。
「笑顔」を大事にしている永富局長。もちろん、自ら接客もします。
定期的に、顧客満足度(CS)を向上させるための「CSマニュアル」をチェックしているそうですが、特に指導・教育をしなくても気持ちのよい対応ができる局員さんばかりだそう。「郵便局には、お年寄りの方も多く来ますので、より丁寧でわかりやすい対応が求められます。結果的に、自然とおもてなしができているんだと思います」という永富さん。
また、「観光客の方に美味しいランチスポットを聞かれたり、買い物する場所を聞かれたりとインフォメーション的な要素もありますが、局員たちは気さくに対応しています。来局される方の8割がインバウンド。でも、スマホを使いながらうまくコミュニケーションをとっています」とのこと。さらに、観光客の方のために、ほかの郵便局より絵葉書やグッズ類の販売コーナーを広く取り、品数も多くしているのも堺町郵便局ならではです。絵葉書を自分の国の友人・家族に出す方も多く、少しでもわかりやすいように英語表記も増やしています。
小さな郵便局にもかかわらず、グッズがたくさん! 観光客の方が喜ぶ、小樽や北海道ならではのハガキも並んでいます。
「英語は得意ではないですが、外国の方が来ても難しいと感じることは少ないです。とにかく大事にしているのは“笑顔”。これは世界共通ですから」と、まさにニッコリと笑顔で教えてくれました。おもてなし認証制度を取得できたと聞き、普段の対応なのにいいのかな?と内心驚いたと言う永富局長ですが、「観光地・小樽のブランド、品質は落とせませんから」という言葉がサラリと出るあたり、ここには通常の郵便局のおもてなしを超えたおもてなしがあるのだな、と実感しました。
インバウンドの方にも人気という「風景印」も観光の記念になります。
(取材・執筆/田口智子)