2024年、全国で初めて、地域独自の「小樽おもてなし認証」制度が誕生。その栄えある第1回目の認証を受けた小樽市内の企業や団体、店舗にインタビューを行い、その業種やお店ならではの「おもてなし」について語ってもらいます。
■ポートマルシェotarue
2024年3月25日にオープンした観光物産店「ポートマルシェotarue」。ガラス張りの広々とした店内は解放感にあふれており、以前の小樽市観光物産プラザ・通称「運河プラザ」と比べても、駐車場があり、トイレも広くなって、使い勝手が非常によくなりました。もちろん、小樽・後志の美味しいフードやドリンク類、小樽Tシャツやバックなど、様々なお土産も買うことができます。
otarueの店長 山田 大佑さんいわく「建物が完成したのは、3月上旬。オープンまで3週間しかないなか、急ピッチで準備をしました。しかも、3月末までは運河プラザも運営していたので、ベテランスタッフは不在。接客未経験の新卒社員含め、新人スタッフだけでなんとか乗り切りましたが、その当時の記憶がありません」と苦笑いするほど、無我夢中だったようです。
オープン後、すぐにゴールデンウィーク、そして次々と寄港するクルーズ船…。「正直言うと、詰めかけるお客さまに対応するのが精いっぱいで、「おもてなし」どころではなかったです。各スタッフは、現場で対応しながら覚えていきましたが、行き届かなかった点は多々あったと思います。ただ、おもてなし認証にかかる覆面調査では“店自体のポテンシャルの高さ”を評価いただきました」と話す山田さん。
何か研修などは?との問いに、「正直に言うと不十分だった」と答えつつも、「声かけが一番大事」ということは、伝え続けていたそう。「ここはホテルではないし、案内所の接客とも違います。魅力のある商品を、失礼のないように販売することが小売店の基礎だと思います。入店時の挨拶などが少ないことなど、まだまだ改善しなければなりません。でも、なにより1年目は新しいこの店が支えてくれた。店の雰囲気が、自分たちをなんとか持たせてくれたと思っています」と語ります。
以前、ラフティングのインストラクターをされていた山田さんは、「お客さまを楽しませるためには、ガイドがまず楽しまないと」という信念で働いていたそう。「otarueも同じです。パンを売っているスタッフは販売しているパンが好きでたまらない、この商品が好きでたまらない…というように、自分のところの商品を愛するということが、良い接客、おもてなしに繋がると思います」とのこと。そんな風にスタッフが特化していくと、おもてなしを超えた「面白くて楽しませる接客」ができるのでは、と考えているそうです。
「店の力に支えられながらも、おもてなし認証を受けることができました。とはいえ、他店から見ればまだまだおもてなし力は低く、もっともっとレベルの底上げをしなければと思っています」と語る山田さん。そして、「新しい店なのは今だけで、いずれは普通の店に見えてきます。それと逆行するように、おもてなしの力を上げていきたいです」と熱く語ってくれました。otarueのおもてなしが今後どう進化していくのか、ぜひ多くのお客さまに立ち寄っていただき、見届けていただければと思います。
