今年、全国で初めて、地域独自の「小樽おもてなし認証」制度が誕生。その栄えある第1回目の認証を受けた小樽市内の企業や団体、店舗にインタビューを行い、その業種ならでは、その店ならではの「おもてなし」について語ってもらいます。
「利尻屋みのや」
堺町通りにある昆布専門店「利尻屋みのや」は、「お父さん預かります」「七日食べたら鏡をごらん」というユニークな看板でも有名なお店です。そんな「利尻屋みのや」のスタッフは、みなさんフレンドリー。「ホラ吹き昆布茶」や「150歳若返るふりかけ」など、面白い商品名にも表れているとおり、店内はどこかホッとできるような気取らない雰囲気が魅力です。
「おもてなしには、笑顔と臨機応変さが大切」と語るのは、簑谷 和臣社長。「マニュアル的な挨拶は、うちが目指しているおもてなしとは言えません。だから、接客マニュアルはないし、自分からスタッフに注意することも全くありません」とのこと。にもかかわらず、おもてなし認証の取得にかかる「覆面調査」において、接客の点数は非常に良い結果だったというのだから驚きです。
社長いわく、「利尻屋みのや」では、新人教育に力を入れているとのこと。その新人教育を担当するのが、1つ上の先輩にあたる「主任」の皆さんです。主任の皆さんは、2週間に一度勉強会を開催しているそうですが、内容やテーマは自分たちで決めるそう。たとえば、12月の勉強会テーマは「次回の社員旅行をどうするか」。それは勉強なの?とも思いますが、50人近い社員・スタッフの意見を聞き、取りまとめ、1つに決めるというプロセスのなかで、主任たちは決断・決定するという経験を積むことになります。接客同様、社員旅行についても社長からの指示はゼロ。全部自分たちで考え進めていくなかで、任されている「責任感」を感じながら、成長していくのだそうです。
そんな主任たちが新人さんを教育するにあたり、「教える自分たちがしっかりしていないと…」という想いから、教えられる側の新人さん以上に、教える側の主任が・・・、さらにその先輩たちが・・・と、自然に店全体のおもてなし力が向上していくのでしょう。直接「おもてなし」について細かく教えなくとも、先輩たちを見ながら、新人さんたちは学び、身につけていくようです。
「おもてなしにゴールはありませんし、そもそも、おもてなしは概念が広い。だからこそ、スタッフの自由度を高くしています。お客さまを想っての臨機応変な対応であれば、たとえスタッフとして決められた業務じゃなくても、会社としてはOKです。そこが認められるかどうかで、会社の器も試されると思っています」と語る簑谷社長。社員に任せ、見守るという会社のスタイルから生まれる「自由度の高いおもてなし」が、この店のあたたかなおもてなしに繋がっているんですね!
